2016年3月22日火曜日

人間不信の野良の仔猫


路地で生まれた幼猫は、すぐに人間不信に陥る。彼らの母親はたいてい人から餌をもらっているが、多くの餌やり人は猫に触れようとしない。それを見て育つ幼猫は、人に愛情を感じなくなる。

多くの餌やり人が、鳩に餌を撒くように、アスファルトの上へ餌を撒く。問題を難しくしているのは、彼らの多くが猫を飼ったことがない、という事実である。彼らは、猫を我が子のようには見ない。餌を撒いて野良猫を集めると満足し、そそくさと立ち去る。猫たちが健康上の問題を抱えていないか、餌を食べに現れない猫がいないかどうか、確かめることもしない。食べ残しを回収することもないので、それらは路上で腐り、近隣の反感を募らせる。

私たちは、猫好きであることは人間的で、猫嫌いであることは非人間的だと決めつけがちである。野良猫に餌を与える人はやさしく見え、野良猫に餌を与えないで下さいという貼り紙をする人は冷たい人に見える。しかし、これは先入観である。

野良猫を嫌う人たちは、ほとんどの場合、単に不衛生な環境や悪臭を嫌うのである。猫にはほとんど体臭がない。排泄物のにおいを猫のにおいと勘違いしている人は少なくないが、これは通りすがりに餌を与えるだけで、排泄物の始末をよその家に押しつけている餌やり人たちのせいである。

残念なことに、餌やり場の近隣の人たちの怒りの矛先はしばしば、人ではなく猫に向かう。足を踏み鳴らしたり、何かを叩いて大きな音を出し、猫を追い払おうとする。近頃では、野良猫の住む界隈に、超音波の撃退機器まで見られるようになった。これらの経験を通じて、幼猫はますます人間不信になり、保護するのが難しくなる。

手を差し延べようとする人に少しの好奇心を示すけれど、その手の届かない距離までしか近づこうとしない幼猫は多い。彼らの多くは成猫になる前に死んでしまうか、自治体の駆除対象となる。運良く生き延びた猫たちも、人を信頼することなく、その多くは孤独のなかで短い生涯を終える。


2013年5月17日 東京都内にて撮影 ©Naoto Shinkai